空のっぽと雲ひげ

サンドアートとつれづれ日記

歯は母より強し

 三日前の晩、林檎をまるかじり中に、出血して左下前歯がぐらぐらしだしたちゅんちゅん。ハプニング・・・と言うより、初めての歯の生え替わり!?とちょっとどきどきしながら翌日歯科医院へ。

 レントゲンを撮ってもらったら、うわ〜、びっくり。乳歯たちの下に永久歯の群れ!!!

「じゃあ、抜きましょう」と先生。

「えっ、今ですか?」

「前歯2本抜いちゃいましょう」と先生。

「えっ、でも、ぐらぐらしてるのは一本だけですよ」

「え?あ、ほんとだ。でも左右対称に生えてくるので、2本一緒に抜いちゃった方がいいと思いますよ」と先生。

「抜く」という単語を聞いても無表情なちゅんちゅん。いや、少し顔が赤くなった。あれはかなりびびっている。

「どうする?ちゅんちゅん」と声をかけると、治療台の上で固くなってしまっていて返事をしない。チビコなりに一生懸命、何と答えたものか考えているらしい。

「いや、お母さん、これは保護者が決めることですから」と先生。

いやいや、先生、相手はもう赤ちゃんではないし、そういうわけにもいかないでしょうから。

「今日はそのつもりで来たわけではないので、急には無理です。ちょっと考えてみます」と私。

「そうですか、気が進まないならいいですよ」と先生。

 とりあえず帰宅して、ネットで乳歯の抜歯についていろいろ調べる。いつものことだが、お医者さんによって意見は様々。関連サイトには、乳歯と永久歯が共存する時期のけっこう衝撃的な模型もあった。ううう、ぶるぶる・・・。先にレントゲンで見ておいて正解。

 結局、悩んだ末、状況的に今回は抜歯した方がい良いという結論に達したので、ちゅんちゅんに話をする。ちゅんちゅんはわりと早めに観念したようだった。それでも直前まで、「どれくらいいたいの?ますいはしてもらえるの?」としきりに気にしていた(当然か・・・)。

 翌日同じ歯科医院に行くと、

「普通はこの程度じゃ麻酔はしませんよ」と先生。

「あ、そうなんですか?でも片方の前歯はぐらぐら動いてないんですけど・・・、痛みは大丈夫なんですか?」

「抜く一瞬ちょっと痛いか、麻酔の注射が痛いか、どっちかですね」と先生。

「ちゅんちゅん、どうする?」と訊くとちゅんちゅんずいぶん迷っている様子。

「返事をしないなら、麻酔をかけないで抜いちゃうよ」と先生。

「いえ、麻酔をするって言いながら来たので、ちゅんちゅん、麻酔してもらった方がいいね?」

「うん」と頷くちゅんちゅん。

 麻酔の注射を打つ時間が非常に長く感じられた。こんな時は、心から信頼できるかかりつけのお医者さんのいる人が本当に羨ましい。

 と、麻酔の注射を打ち終わったとたん、即抜歯の準備をする先生。え?え?こんなに早く?今日は時間がかかるのを覚悟して来たのだよ・・・。

 ぶちっ!と。

 いや〜、本当にあっと言う間。あっという間に2本。どうりで、「乳歯の抜歯ごときで麻酔なんか」という態度だったはず。まあ、ちゅんちゅんの下前歯の永久歯もかなり上に伸びてたしな。

 それにしても・・・小児歯科専門だったらもっと患者(子供)を思いやってくれるのかしら・・・等々考えながら歩いていると、歯茎の出血がおさまった頃に「思ったよりいたくなかった〜」と、ちゅんちゅん。笑顔の額から汗がどわっと吹き出している。

 はあ〜、案ずるより産むが易し、だったか。心臓に悪い〜。自分の歯が生え替わった時のことなんて、さすがにあまり覚えてないよ。

 寒さが一瞬ゆるんだ数日の出来事でした。

 ちゅんちゅんの下前歯くんたちは現在カエルの入れ物(歯科医院でもらった)に保管中、です。