空のっぽと雲ひげ

サンドアートとつれづれ日記

東北旅行3

10/9(土)山形新庄、雨

 「全日本語りの祭」に参加するため、山形へ向かう。会場のある新庄へは鈍行で約3時間ほど。我が家のプチ怪獣くん、どうなることかとけっこうひやひやしていたのだけれど、最初の1時間は席が隣り合わせになった年配のご婦人に話相手をしていただき、真ん中の1時間は向いの席に座った女性へのアプローチに心を尽くし、最後の1時間はパパに抱っこされて爆睡する、という有意義な時間を過ごしていた。

 駅では、イベントに関する案内所が出ており、スタッフベストを着た人も何人かいた。タクシーで会場に乗り付けると、語り手たちの会の遠藤さんが玄関で待っていて下さった。(遠藤さんには、今回、嵯峨くんが子守を担当できない時間帯にちゅんちゅんを預かっていただくことになっているのだった)控え室に荷物を入れて、すぐにサウンドチェックのためステージへ。ホールには、今回の「語りの祭」の開会式での野花南の出演に関してお声をかけてくださった末吉さんもいらっしゃった。

 参加の申し込みは500人くらいだとのことだったが、地元の人の出演コーナーもあり(子どもたちによる語りも!)、地元のご来場者も多かったと見え、1,000人規模の会場にかなり人が入っていた。

 全国から集まった人たちの語りをこんなに一度にたくさん聴ける機会はなかなかないので、最初からわくわくして聴いていたのだけど、地元の語り手の方の「きゅうり姫ご」や「どくまんじゅう」は、本当に面白かった。上手い語り手の話を聞くと、自分も語ってみたくなる。思えば山形は私が語り初めた土地なのだ。最初の野花南ツアーで、はじめて本を持たずに語り、緊張のあまり観客まで緊張させてしまって、目を合わせた人たちを全員俯かせた思い出がある^^;。なつかしい〜。

 今日は、念願の「夜語り」も聴きに行く。会場となった瀬見温泉はかなりわびさびのある場所で、新庄駅からJRで20分ほど。あいにくの冷たい雨で、しかも駅から10分ほどの真っ暗な人気のない道を、何度も挫けそうになりながら歩き続けた。が、その甲斐あって、1時間半ちょっとの短い時間ではあったが、いろいろな方の語りを聴け大変刺激になった。

 夜語りは、温泉に宿泊している参加者300人+私のように別のホテルに宿泊している参加者の何人かが、5つの部屋に別別れて、それぞれの部屋に振り分けられた出演者(時間の都合上、7〜10人)の語りを楽しむ、というもの。

とにかく皆さん、語りをやっていることに誇りを持っていらしゃって、語ることが楽しくてしかたないといったその表情は、見ていてとてもすがすがしくうらやましいほどだった。ひとりひとりに持ち味があって、情熱があって、とにかく素敵だった。そしてまた、自らも語り手であるという方たちの反応の良さが、さらに雰囲気を盛り上げ会場を沸かせていた。

 帰りのJRの中で、「やっぱり来て良かった〜」としみじみ思いながら、今日あったすべての出来事を思い返してみた。雨はまだ降り続いていたが、気持ちの中は晴れやかだった。