かまぼこになりたかった
おせち用にと、大晦日にかまぼこを作ったら失敗した。
久々に「これはマズイ」というものを作ってしまった。
どうみても「かまぼこになりたかったのに、なれなかったもの」である。
食紅を混ぜてピンクのアーチをかぶせたつもりが、出来上がってみれば朱いほっかむりである。
なぜこうなった…。
フードプロセッサーを使わねばならぬところをミキサーで間に合わせたからか?
たしかに、刻まれたタラが、ミキサーの内壁にひっついて凶暴に回転する金具を必死にかわしていた。
なんかうまくいってない気がするけどまあいいやと、自分にGOサインを出してしまった私の雑な性分のせいか?
タラと片栗粉と卵の白身…、最悪食べられないことはないでしょとたかをくくったのが敗因なのか。
今朝、「手作りかまぼこ」なるものを楽しみにしていたちゅんちゅんが、止めるのも聞かずに食べて、「これ、かまぼこじゃない、桜でんぶの甘くないやつ…」と寂しそうに言った。我が息子ながら的確な表現だ。
夕食を準備する時、とにかく食べてしまおうと覚悟を決めた。
しかし、刻んで炒めものに混ぜるだけでは芸がないと思い、かまぼこのレシピをネットで検索。「マヨネーズをつけてからパン粉にまぶして揚げる。」あ、これならなんとかなりそう。
さっそくやってみた。
フライパンの上で、半信半疑のままジュージュー揚げられていく「かまぼこになりたかったのに、なれなかったもの」たち。
フライパンから取り出す時、最後の一枚が悔しそうに叫んだ。
「あたしはかまぼこになりたかったのよ〜。これじゃあ、ただの白身魚のフライじゃないのお〜」
来年から、おとなしく蒲鉾セットを買おうと思う。