空のっぽと雲ひげ

サンドアートとつれづれ日記

夢の中で空を飛ぶ、平泳ぎで。

 夢の中で空を飛ぶ時、他の人はどんな飛び方をしているのだろう。

私は、平泳ぎだ。いつ頃だったかはっきり思い出せないが、「これは夢の中だ。飛んでみよう!」と思った瞬間、なぜか平泳ぎで空中を上昇したのを覚えている。

 それと、これもなぜだかわからないのだが、走る分にはどこまでも軽やかで疲れ知らず(所詮夢の中)なのに、平泳ぎで空を飛ぶのは激しく疲れる。ある時思い切ってアトム飛びやクロールなんかも試したりしたが、冗談のように落ちた。

 この話を友人にすると、「見上げたら、平泳ぎする人が空を飛んでるなんて!」と失笑を買うのが常だ。ところが、先日初めて同じ夢を見るという人に会った。会った、というか、その人とはしばらく前からの知り合いなのだが、私と同じ飛び方をするとは夢にも思えない人物だったので、とても不思議な気がした。なんというか気骨のある魔性の男性といった人で、どう考えても自分と彼との間に共通点なり特別な縁なりがあるようには思われないからだ。

 どちらにしろ、ちょっとわくわくする。とりあえず、私一人ではないのだ、夢の中で平泳ぎで空を飛ぶのは。もしかしたら、他にもまだいるのかもしれないぞ、平泳ぎで空を飛ぶ人が。もしかしたら、いつの日か、平泳ぎしながら空を飛んでいる誰かと行き交うことがあるのかもしれないぞ、夢の中で。