空のっぽと雲ひげ

サンドアートとつれづれ日記

その時が来た

 2/22に実家の父が逝きました。

 昨年秋に胆管癌を告知されてから3ヶ月あまり。事前に家族への相談がなかった突然の告知のせいで、父はメンタル面でずいぶん挫けてしまい闘病さえもままならない状態が続いていたのですが、最後のひと月は本人の強い希望もあり在宅介護に切り替えました。

家に戻ってからは、母や姉に甘えて我が儘放題だったけれど、精神的にはずいぶん安定していたように思います。介護の手伝いで実家に戻る度、ベッドの枕元でちゅんちゅんと私を交互に見ながら、に〜っこりと嬉しそうに笑っていた父の顔がふとした時目に浮かびます。

 ちゅんちゅんが4歳になった時、将棋盤を作ってちゅんちゅんにプレゼントしてくれた父。その半年後、ちゅんちゅんが自分で本を読みながら囲碁を覚え始めたと言うと、またすぐに囲碁盤を作ってプレゼントしてくれた父。「いや、本当に、孫ってこんなに可愛いもんなんだな」「ちゅんちゅんが成人式に出るのを見るまでは、頑張りたいなあ」と常々口にしていました。

 姉からの連絡で駆けつけたその日の夜、父の好物だったお寿司をとってみんなで食べました。父の寝ている部屋に、ちゃんと父の分もお供えして・・・。

「なんだ、死んでみたらえらいごっつおうだな」と笑って起きあがりそうで、可笑しくて・・・目眩がするくらい悲しかった。

 「人生は順番だから、誰にでも、いつかその時は訪れるのだ」と何度自分に言い聞かせても、簡単に納得できるものではないですね。痛すぎる実感は、心を麻痺させるものなのだなとつくづく思います。