その時が来た4
新年早々、サンタさんの話ですが。
昨夜、布団の傍らに入ってきたちゅんちゅんが言った。
「ところでママ、サンタって本当にいるの?本当はいないんでしょ」
薄目を開けて見ると、真剣にこちらを見つめている。「だいたい」と息子様はおっしゃる。
「科学的に、サンタがソリで空を飛ぶって、無理でしょ」
はて、この質問は何回目だったか。
いずれにしてもここまで思いっきり懐疑的に詰め寄って来るのは初めてだ。ふと、今 嘘を突き通したらタイミングと信頼を失ってしまうかも・・・と不安になる。瞬時に苦渋の決断をして、サンタさんについて私が知っている真実をあれこれと告白した。
「やっぱりね」とちゅんちゅんは言う。
「ママは2年生くらいの時に気がついたよ」
「ボクは一年も長くダマされてた」(←人聞き悪いな・・・)
「でもね、もしかしたら、本当にフィンランドのどこかに本物はちゃんと暮らしていて、クリスマスにはプレゼントをくれる大人がいない可哀想な子供たちのところに、プレゼントを届けてるのかもしれないよ」
実際そうであって欲しいし、そんなこと絶対ありえない、と誰に言えるだろう。「結論的に」とうちの息子様はたたみかけてきた。
「いないんだよね」
・・・がっかり感が否めない。そう言えば、私もプレゼントを枕元に置いてくれるのが両親だと分かった時、一瞬世の中が暗くなって目眩を感じた覚えがある。
寝返りを打って背中を向けたちゅんちゅんが、ちょっと遠くなった気がした。ふと、すごくさびしくなって、眠ったのを確認してからぎゅうと抱きしめた。